9条信者の大きな矛盾
日本国憲法の第9条の2項にはこう記されている。
「前項の目的を達成するために、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
つまり、日本は武力を全く以て放棄しろ、という条文である。バカバカしい話だが、今の我が国にはこの条文を信奉し、またこの条文のおかげで、現在の日本の平和が成り立っていると、声高に叫ぶ人がいる。
そのような人々を私は、「9条信者」と呼ぶ。
9条信者の特徴として、9条2項を信奉する他に、戦前戦中の日本を否定しがちであり、また大東亜戦争において、国のために戦った英霊たちを「無駄死にであった」と評する癖がある。
だが、ここでおかしなことに気づく。英霊たちの死が「無駄死に」であったのならば、こんな条文を書き加えただろうか。
ご存知の通り、この日本国憲法は敗戦後の日本にて、占領政策を敷いた連合国軍総司令部(以下、GHQ)によって草案が作成された。
GHQの職員の大半は、アメリカ人であり、その中には米国軍人もいた。つまり対日戦争がどのようなものであったかを知る人間も多数いたということだ。
しつこいようだが、英霊の死が「無駄死に」であれば、このような条文は必要なかったであろう。なぜGHQは日本の武力を削いだのか。
簡単な話である。日本軍の恐怖が脳裏に焼きついているためだ。皆さんもご存知だと思うが、大東亜戦争末期の「硫黄島の戦い」や「沖縄戦」における、日本兵の戦いは凄まじいものであった。我が国を守らんとする若人が凄まじい形相で、自らの命をかなぐり捨て、米兵に向かっていった。アメリカ側からすれば戦には勝ったものの、とてつもない恐怖が脳裏に焼きついただろう。
「再び日本が軍備を整えれば、次はない。」
硫黄島や沖縄での戦いを知る、米国軍人はそう思い、日本の武力を放棄させたのだろう。
少なくとも、9条信者からすれば英霊たちの死は「無駄死に」ではなかろう。信者たちが信奉する「日本国憲法第9条第2項」という「平和の呪文」は、英霊たちの凄まじい戦いの果てに生まれたものだからだ。
9条信者こそ、本来であれば、9条が生まれた所以である英霊たちに感謝せねばならないはずだ。しかし9条信者であればあるほど、英霊たちの戦いを否定し、なかったことにする。
9条信者がこの大きな矛盾に気づく時は、同時に日本国憲法第9条第2項という「偽の平和の呪文」を信奉することをやめた時であろう。